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ふと思う・・・住職のひとりごと。(2-2)

「新潟付近で発生した大雪の為、この先は進めません・・・この列車は大阪に引き返します・・・」

と車内アナウンスが告げた。

彼の実家に行けない。

「この先どうしたらええんか」

彼女は慄然としました。

彼の実家の電話番号は聞いておらず、現在のように携帯電話などある訳もなく連絡の取りようもなかった。

大雪の為、電車は立ち往生したまま。

「なぜ動かへんのや」とイライラが募る。

どのくらい時間が経ったのだろうか、思わず彼女はつぶやいた。

「やり切れませんね」

すると、諸々の事情を聞いた隣席の紳士が彼女に言う。

「槍は切るものではありません。通すものです。」

と、別路線での山形への生き方を解りやすく教えてくれたり、懇切に彼女を諭すのであった。

「やり通しなさい。」

彼女はまず、駅で彼の実家に電報を打った。

「遅れますが、必ず行きます」

白鳥号は、大阪に引き返した。

列車は何度も止まりながら、夜になり、朝になり、やっと米原駅に辿り着いた。

彼女はすぐに東海道線に飛び乗った。

何も食べず、一睡もせずに八時間をかけて東京駅に到着。

初めての東京に戸惑いながら上野駅に向かい、山形に向かう列車を探した。

約束からすでに丸一日過ぎていた。

彼の実家の方々はどう思っているのだろうか。

不安な気持ちを抱えながら、北に向かう列車の乗った。

列車は、どの車両もスキーに向かう若者達で立錐の余地もない程混雑し、車内は若者の熱気で溢れていた。

その中に、一人大きな荷物を持ち、晴れ着姿の彼女は場違いのようで痛ましくも思われた。

最初に大阪を出発してから三日目の朝、六本の列車を乗り継いで余目に到着した。

彼が改札口で待っていた。

「よく来てくれた」

「根性あるなって言ってくれはって」と彼女は喜ぶ。

ここまでたどり着いた彼女を、彼の家族は温かく迎え入れてくれた。

この年の三月に二人は結婚、それから五十一年間を二人は一緒に生きてきた。

これも全ては、あの紳士の言葉のおかげであった、と半世紀経った今でも二人は感謝の言葉を惜しみなく綴る。

「やり通しなさい」

私もこの言葉に感動しました。

昨年の台風、今年のコロナウイルス等々、本当にやり切れませんね。

でも「槍は切るものではなく、通すもの」だそうです。

この言葉は、色々な物事をくじけずにやり通す事が大切であると教えてくれております。

皆々様くれぐれもご自愛下さいませ。

コロナウイルスにも負けずに頑張りましょう。

「やり通す事を大切に」

合掌

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