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ふと思う・・・住職のひとりごと。(2-1)

若い頃は箸が転んでも笑う。

大辞林第三版によれば、箸が転んでも可笑しい年頃は女性の十代後半をいうらしいが、我々のように七十歳にもなると何気ない物事にも涙を誘われる事がある。

先日、徒然なるままにNHKの「心に沁みる夜汽車2020春」をみた、私の心に沁みた。

番組では、昭和40年代の実際の出来事をドラマ化して再現していた。

今から51年前の正月、大阪発青森行の特急「白鳥※」に一人の女性が乗り込んで来た処から番組は始まる。

(※大阪「8時30分発」と青森「20時00分着」をつなぐ日本海縦貫線。当時昼間の特急としては日本一の距離を誇る)

彼女は晴れ着を着ていた。

彼女は初々しく、今切ったばかりの菖蒲の花のような爽やかさであった。

山形県の庄内、余目にある交際中の彼の実家に初めて挨拶に行くという。

彼は大阪の商社に勤めるサラリーマンで彼女にとって、10回目のお見合いでの出会いであった。

彼女は大学に進学せずにお稽古事に励んでいた。

そんな彼女を彼は、音楽会や美術館に連れ出した。

自分が生まれ育った田舎の町しか知らない彼女は言う。

「彼は私の世界を広げてくれました。そんな彼を好きやと思います」

「清潔やし、きちんとしている。この人ならついていける」

と、はち切れそうな笑顔で語る。

余程気持ちが合ったのか、二人はお見合いから二か月後には結婚の約束をした。

しかし彼の実家からは、早すぎると言われていた。

「焦る気持ちもありました。だって…私…28歳でしたから」

「結婚するには面接試験に合格せなあかんでしょう」

「先方に会って、あんなんやめときやになったら困りますもんね」

彼女は屈託なく、笑う。

列車が米原駅を過ぎると雪が降り始めた。

彼女はまた語り始めた。

「不安はまだあるんです・・」

彼女は大阪で果物店を営む家庭で育った。

一方、彼の家は父親が銀行の支店長、兄弟は全員大学出のエリート。

二人は育った環境が全く違っていた。

彼女は、彼の両親が私を認めてくれるかどうか不安だと訴えた。

列車が北陸に入ると吹雪になり徐々に進まなくなり、遂には糸魚川駅で列車は緊急停車した。

(2-2)に続く・・。

 

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